Q&A

医療過誤や一般的な裁判についてよく寄せられる質問について解説しました。参考になさってください。
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医療訴訟は通常、医師や医療機関が相手方となります。立証責任は患者側にありますが、証拠は全て医療機関側にあるため、まずは証拠を改ざんなどがされないよう適切に収集する必要があります。証拠を調査・検証し、医療過誤の立証が可能と判断される場合のみ、提訴して裁判で法的な主張を行うことになります。そのため、ヒアリングの段階で調査を行うべきかを判断し、調査・検証の結果によって法的責任を問うことが困難であったり、ご相談者にとって法的な主張を行うメリットが少ないと見込まれる場合は裁判をおすすめしない場合があります。

争う事案により変わってきますが、2014年の統計によると、訴えを起こして第1審が終わるまでの裁判期間は全国平均で22.6ヶ月(2年弱)です。東京・大阪をはじめとする多くの大中規模都市の地方裁判所には「医療集中部」と呼ばれる、医療事件を専門に扱う部署が設けられています。裁判官が医療裁判に熟練しているため、迅速な審理が行われており、ここではほとんどのケースで第1審が終わるまでの裁判機関は2年以内です。

現状、医療裁判は和解で解決するものが5割弱、判決となるものが4割弱となっており、判決となるもののうち患者が全面勝訴または一部勝訴する割合は2割程度となっています。和解には患者側の主張が全面的に認められた和解も含まれるため、事実上の勝訴の割合はもう少し高くなると思われます。ただし、一般的な民事裁判の勝訴率が約8割といわれていますので、医療過誤裁判は勝訴は難しいとはいえます。レンジャー医療部は医学的知識の豊富な弁護士が全力でサポートしており、状況に合わせた柔軟な対応が可能です。

相手方の弁護士費用を負担する必要はありません。敗訴の場合、判決で「訴訟費用は原告の負担とする」と命じられます。この訴訟費用とは、訴え提起の手数料、印紙代、郵送料、当事者の交通費、証人の日当などのことであり、相手方の弁護士費用は含まれません。

弁護士費用の他、証拠保全を行う際には、コピー代の他、カメラマンの同行を必要とする場合はカメラマンの日当などの実費がかかります。また、訴訟提起の際には裁判所に収める印紙代の他、郵送料、証拠の収集における協力医への報酬、鑑定人に鑑定意見を求める場合はその鑑定費用などの実費がかかります。レンジャー医療部では、弁護士が医療の専門家でもあるため、状況によっては協力医なしでの証拠収集も可能です。

医療訴訟の主な法律構成としては、債務不履行(診療契約上の義務違反)と不法行為(医師が負うべき注意義務違反)の二つがあります。裁判ではそのいずれか、または両方を争うことになります。債務不履行の場合、損害賠償を請求できる期間は10年。不法行為の場合、その行為が行われてから20年が経過すると時効となり、損害賠償請求権が消滅します。

カルテ開示とは、医療機関に直接、コピー代等の手数料の実費を払って医師診療録、看護記録、手術記録、麻酔記録、外来診療録、検査結果報告書、レントゲン等の画像などの診療記録のコピーをもらう方法です。診療記録の入手には「証拠保全」という、裁判官や弁護士と共に医療機関に赴く方法もあります。診療記録の改ざんの危険を抑制するメリットがありますが、費用や時間がかかるというデメリットもあります。どちらを行うべきかはケースバイケースですので、一度ご相談ください。

解剖を行うことで死因が確定できる場合があり、死因の確定は裁判で争う上で非常に重要な要素になります。心情的に決断しにくい部分もあるかと思いますが、真実を明らかにすることは被害者のご供養にもなるのではないでしょうか。

医療過誤裁判は、端的にいうと
◎ 医師や医療機関の違反やミス
◎ 損害の発生
◎ 違反やミスと損害との間の因果関係
の3項目を明らかにしていく作業です。つまり、原因となった医療行為、患者が負った傷害や死亡の発生、それによって生じた損害の間の因果関係を的確に立証できなければなりません。この3つのうちの一つでも客観的に裏付けできなかったり相手側の反論によって覆されてしまった場合、裁判で勝利することは難しくなります。予見の難しい緊急の判断があった、複数のスタッフで構成される医療チームのどこでミスが起きたか明らかにできない、死因の特定ができないなどの状況では、法的責任を問うことは困難です。

損害賠償請求は症状固定(傷病の症状の回復・改善が期待できない状態)での損害から賠償内容を算定しますので、症状固定に至らず(改善の見込みがある)治療中の段階での損害賠償請求はできません。

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